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鳥取産業保健総合支援センター 所長 能勢 隆之


健康上の各種の現象を主に疫学的に把握し疾病の予防や健康の保持増進を科学的根拠に基づいて実践する医学の学問分野に公衆衛生学という学問があります。この分野には産業保健、母子保健、学校保健、成人保健、老人保健、環境保健など20以上の保健分野や保健・医療・福祉そして介護制度などを研究実践する分野もあります。
鳥取産業保健総合支援センターの業務の一つである産業保健分野は職域で活動する労働者の健康管理や疾病の予防を実践する分野であります。

また、産業保健に関する職業病などの病気の予防には、健康増進に始まり、疾病対策や職場復帰まで広範囲な活動が含まれています。
この概念は予防医学としても理解されています。予防医学は第一次予防(健康増進・疾病予防活動)、第二次予防(健康異常の早期発見・そして早期の適切な治療により疾病の進行を抑える)、第三次予防(疾病の治療・そして治療後にリハビリテーション、再発防止、職場復帰)の三段階に分けて様々の対策が実践されています。

今年の12月1日から開始されるストレスチェック制度の目的は労働者の精神状態が不調になったり、気分が障害される(その結果 うつ状態におちいる)ことなどを未然に防止することを目指し、職場の作業環境や人間関係を良好に保つ体制をつくることや、不調な状態を早期に発見すると同時に早期に対策するという第一次予防と第二次予防を含めた対策を行うことを目指しています。そして高ストレス者を発見し、専門家による面接指導を行い うつ状態が増悪しないように対策すること、うつ病などの早期のものであれば軽いうちに治療やリハビリテーションを行い健全な状態に回復をはかることと同時に職場環境などの改善により職場復帰がしやすい体制を構築し、健全な労働力を確保するという第三次予防までの一連の対策を考えた制度であります。

ストレスチェック制度は実際に実施されてみないと、どんな問題や解決しなくてはならない課題があるのか不明な点があります。
まずはこの制度がスムーズに開始され、事業場の関連される人々に理解が進むことを願っています。