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鳥取産業保健総合支援センター 所長  能勢 隆之

 

平成31年(2019年)明けましてお目出度うございます。
昨年(平成30年)に「働き方改革」を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立しました。

この整備法の内容には、フレックスタイム制の運用の見直し、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の確実な取得の仕組みの導入、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上にしなければならない等がありますが、その他に、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に「勤務間インターバルの設定」が努力義務として示されました。勤務間インターバル(終業時刻と始業時刻の間に一定時間の休息を確保すること)を設定することにより、労働者が十分な睡眠時間や生活時間を確保し、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を保ちながら健康で働き続けることが可能となることを目指しています。

労働時間については、軽作業、重量作業などによる身体的負荷の異なる作業もありますが、就労時間を原則「18時間」とし、それぞれの仕事の状況によって就労時間を変更することにより、作業効率も向上し、健全に労働を遂行できる制度が決められています。また、労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分間の休憩を、労働時間が8時間を超える場合には、少なくとも1時間の休憩を与えなければならないとされており、作業途中で体力や心身の快復を可能にするように決められています。

休息時間としての勤務間インターバルは911時間が提案され、この間で心身の疲労などが回復することを期待し、労働者が就労時間外に仕事から離れて人間らしい日常生活を送れることが重要であると考えられているのです。

この制度を確立することは、健康な生活を送る為にも大変重要なことでもありますが、しかし、休息内容そのものを決めることは困難な為、インターバル時間(休息時間)というように時間のモーメントで制度化するしかありません。

もとより、休息のとり方は労働者によりそれぞれに異なります。
十分に身体をやすめ、睡眠時間をとることが目的なのですが、現実的にはインターバル時間内であっても、家事労働、育児時間、家庭生活、娯楽、スポーツ等のほか日常生活の中には様々な事柄が混在しており、労働疲労の回復だけに使えない場合もあります。

「働き方改革」を考えるとき、労働時間に関する様々な施策に着目しがちですが、労働者の生きる在り方のパラダイムシフト(適切な生き方)もある程度考えに入れた労働対策がとられないと、人生を働くことのみでなく、労働以外の時間も楽しめる充実した生き方が可能にならないと思いますがいかがでしょうか。

今年もさらに産業保健改革が進められることを期待します。