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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和4年11月によせて

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長 黒沢 洋一

エイジフレンドリー

 

エイジフレンドリーは、世界保健機関(WHO)が提唱している「高齢者の特性を考慮した」考え方で、労働者の高齢化がすすむわが国の職場の健康管理では重要な課題となっています。高年齢労働者の雇用者数は過去10年で約1.5倍に増加し、雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の割合は17.8%を占め、1千万人近い高年齢労働者がわが国の産業を支えています。体力・持久力、視覚・聴力等の身体機能は加齢による影響を受けますが、経験に基づく技術や判断力は加齢により向上します。その特性により高年齢労働者は、貴重な労働力となっています。一方、休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の高齢者の割合は高く、高年齢労働者の労働災害は重症化しやすいことが分かっています。そのため、高齢者が能力を発揮し、安心して活躍できるようにするための「エイジフレンドリーガイドライン」(厚労省 2020年)が取りまとめられました。求められる事項として、

(1)安全衛生管理体制の確立等
(2)職場環境の改善
(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
(4)高年齢労働者の健康状態や体力に応じた対応
(5)安全衛生教育の実施

が挙げられています。職場環境の改善では、転倒防止が重要ポイントで、段差の解消、手すりの設置、床のすべり止め、照度の確保などが推奨されています。「エイジフレンドリーガイドライン」は、貴重な労働力を守る予防活動指針ですので、ぜひ活用してください。