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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和5年2月によせて

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長 黒沢 洋一

 

どうなる新型コロナ感染症

 

昨年の夏ごろ、新型コロナ感染症について意見を求められると、「このパンデミックの将来を予測できると言う人は、自信過剰か嘘つきです。専門家は、また南半球のオーストラリアでの動向を注意深く見守っています。オーストラリアは、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの季節流行が復活し、病院が圧迫されています。」という海外の権威ある医学雑誌の記事を引用していました。新型コロナウイルス感染症は3年目を向かえてそろそろ終息という楽観論に根拠はなく、予想不能であり、冬季のインフルエンザとの同時流行に備える必要があるという趣旨です。
振り返ると、第7波に第8波とつづき感染者が急拡大しました。重症化の割合は初期の感染に比較して高くないものの、感染者数が極めて多いため一日の新型コロナ感染症に関連する死亡者数が過去最大となる日が続きました。インフルエンザとの同時流行もみられました。

わが国で新型コロナ感染症が確認されてからまる3年が過ぎた2023年1月、感染症対策において大きな動きがありました。新型コロナの感染症法上の位置づけについて、政府は1月27日の対策本部で、大型連休明けの5月8日に、今の「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を決定しました。
医療費などの公費負担については段階的に縮小し、3月上旬をめどに医療体制とあわせ具体的な方針を示すとしています。マスクについては、屋内、屋外を問わず、着用を個人の判断に委ねることを基本にするよう見直すとした上で、具体的な見直し時期を検討していく考えを示しました。

このほか、スポーツやコンサートのイベントでは引き続きマスクの着用を求める一方で、応援などのために大声を出すことを認めました。今後、各都道府県がこれらの方針に基づいてガイドラインの見直しを行うようです。岸田総理大臣が「ウィズコロナの取り組みをさらに進め、あらゆる場面で日常を取り戻すことができるよう着実に歩みを進めていく」と述べたように、通常の生活に向けて本格的に動き出すということでしょう。
今後、国の方針をもとに、各事業所でも新型コロナ感染への対応が検討されることになるでしょうが、その際、産業医に意見を求められる機会が多くなると予測されます。新型コロナの感染症法上の位置づけの見直しの方針はよいと思いますが、絶えず準備せよという意味で、私はアメリカで新型についてコロナの感染対策を主導してきたファウチ博士の言葉を引用しようかと考えています。「私たちはまだパンデミックのまっただ中にいる。」(ファウチ博士NHKの単独インタビューに応じて)。