アーカイブ | RSS |
所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 平成30年4月によせて

投稿日時:(35ヒット)

鳥取産業保健総合支援センター所長  能勢 隆之

 

「働き方改革」が提案され、日本人の仕事(働く事)に関する考え方を変えることが必要ではないかと思うようになりました。労働者の長時間労働それに関連した健康障害の発生や過労死については、今まで日本人は、よく働く働き者であることと好意的に、ややもすると良い事、あるいは賞賛されることとして受け入れられていたような気がします。

しかし、働き方改革の方向は、この事を必ずしも良いことと考えないで改善しなければならないとしています。そもそも日本人の労働観あるいは「仕事をする」ということについてどのように理解されているのかが、気になります。日本での仕事の語源は「仕える事」でした。これは古くは神様に仕える事あるいは神事としての尊い行いを意味する言葉でした。一方「労働」という言葉には「苦役」という内容が含まれています。キリスト教文化の国などにおいては、日本と違って「働く事」は嫌なことで早く済ませてしまいたい、あるいは出来るだけやりたくない事と理解されているようです。もしかしたら日本で行っている長時間労働や過労死の問題は、日本人独特の価値観から起こっているのかもしれません。

8時間労働の根拠は前にも述べましたが、産業革命以降につくりあげられた基準で、人間の能力や体力等に合わせた科学的根拠があるわけではありません。
「労働する」ということは、今日の資本主義社会経済の中では賃金という対価を得て行うことですので、弱者である労働者を守るために労働基準法を制定し、健康で安全な労働を保障するようにしたわけです。

学歴社会のなかで子供の頃から長時間勉強することを良いこと強制(?)されて、長時間勉強は良いこと必要なことと慣らされ大学に入学するにも四当五落(すなわち五時間以上寝ると不合格で四時間以内の睡眠でない合格しない)などと言われ、競争社会で生き抜くためには、長時間勉強したり、働くことが必要なことと、自然に受け入れられるようになっているのに気づいていないのではないかと思います。また、有給休暇の取得率が低いことも、仕事より自分の都合を優先させたり、多くの休暇をとる事で、同僚に迷惑がかかることと考える傾向が根底にあるのではないかと思っています。
「働き方改革」の実践あるいは論議には、日本人の古来の価値観を見直す必要があると思っています。