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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和3年5月によせて 

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長  能勢 隆之

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策として感染が広がっている都道府県に「まん延防止等重点措置」や再び「緊急事態宣言」が発令されています。

宣言に伴い、国は大型商業施設、遊興施設や飲食店などの各種事業者に対して休業や酒類提供などの全面自粛などを要請しています。各々の事業場には今までどおり、いわゆる3密(密接、密集、密閉)を回避するとともに次の5つのポイントすなわち、①テレワーク、時差出勤の推進 ②体調がすぐれないときに気兼ねなく休めるルールの設定 ③職員間の距離の確保、定期的換気、仕切り、マスク着用しての作業 ④手洗い、手指消毒 ⑤休憩所・更衣室の混雑緩和などを確認するように求めています。

ところで政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、緊急事態宣言を発令するための条件として、「感染状況の悪化の予兆を早期に探知し、即座に対応するための概念(根拠)」を4段階のステージで設定しています。第1ステージ(感染散発)、第2ステージ(感染漸増)には特に指標はありません。医療提供体制の機能不全を回避するため、指標として第3ステージ(感染の急増)、第4ステージ(爆発的感染拡大)を設定し、第4ステージでは宣言を発令することにより、自動的に感染防止対策を強化(休業要請など)して医療の逼迫を回避することを可能としています。

このような対策をとる考え方は、株式市場の「サーキットブレーカー制度」という方法を参考に応用したものです。これは株の価格が一日のうちに一定以上大きく変動した場合の混乱を避けるため、あらかじめ株価の高値と安値の幅をきめておき(値幅制限)、それに達するとストップ高、ストップ安として株の売買を一時的に停止する仕組です。

この考え方を応用して感染拡大の混乱を避けるため、①病床の逼迫具合 ②療養者数 ③PCR陽性率 ④新規報告数 ⑤感染経路不明者割合などの5つの指標を決めています。コロナ感染はゼロにならない(ウイズコロナ)状況下で、これらを基にして指標の値が高く(悪く)なったら宣言を発令し、一定の値まで低く(流行減少)なったら宣言を解除するという条件を決めておくと、自粛させられた事業者や国民も少しは安心すると推測されます。

しかし、残念ながらこれらの指標も衛生統計システムが確立されていないため、どうしても不正確にならざるを得ません。その上、政治的判断に任せるとどうしても経済的影響を優先する傾向があります。そのため、あらかじめ宣言解除などの出口(指標)を決めておくことが必要となってくるのです。各事業場においても、従業員が感染した場合にそなえて対処方法をあらかじめ決めておき、疫学調査(接触者の処遇のため)としてのPCR検査を徹底し、感染拡大が予測されたら早目に休業措置をとるなど、感染機会を減少することが先決です。

このような早目の措置をともなった対策が、危機を回避でき事業の継続を可能にするものと思います。