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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和4年1月によせて 

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長  能勢 隆之

 

新年明けましておめでとうございます。

今年も平穏に仕事を続けるため、まずは健康づくりに努め、健康を維持し、増進することに努めましょう。健康づくりのキャンペーンには「運動・栄養・休養」が3種の神器のように唱えられています。運動と栄養については多くとりあげられており、休養については気分転換やレクレーションをすることが提案されますが、最も重要な睡眠をとることについては言及されることが多くありません。色々な要因で睡眠が十分にとれない人が多くあります。不眠のリスク要因として労働状況たとえば長時間労働、深夜労働などによる睡眠時間不足がとりあげられます。睡眠が上手にとれず、不眠症、うつ病、そして生活習慣病などに罹患する労働者もたくさんあります。

今回は睡眠障害について解説します。睡眠障害には次の4つのタイプがあります。①入眠障害(寝つきが悪い)、②中途覚醒(眠りが浅く、途中で何回も目が覚める。中途覚醒時間も10年毎に10分ずつ増加するといわれています。)、③早朝覚醒(就寝する時間にもよりますが午前2~3時の早朝に目が覚めてしまう)、④熟眠障害(深い睡眠は年齢とともに減少することなどにより、ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感が得られない)などです。

これらの睡眠障害により十分な休息がとれず、倦怠感がとれないだけでなく意欲低下、集中力低下、抑うつ感、頭重、めまい、食欲不振などさまざまな症状があらわれ、仕事の能率が低下します。また、これからは再雇用などで高年齢労働者が増加することが予測されており、加齢とともに睡眠の量と質は低下するので、不十分な睡眠をとりもどすための土日の「寝だめ」では解消できない労働者が増加します。

さらに働き方が多様化し、長時間労働者(最低6時間の睡眠時間のとれない超過勤務をしている者)、交替勤務者(日勤・夜勤を交替で勤務し、概日リズムが乱れる勤務をしている者)、勤務間インターバルの短い労働者(勤務間インターバルが11時間以下の勤務者は6時間睡眠をとっていない)が増加しており、改善する必要があります。

そのためには事業場での睡眠保健教育をすることが重要です。一般的な健康教育の内容として、①毎日同じ時間に起床し、朝の光を浴びるなど生体時計のリズムを整える、②アルコール、タバコ、カフェインを含む飲料などは脳の覚醒が3~4時間つづくので寝る前には控える、③眠る30分~1時間前に入浴する(40℃のぬるま湯につかると深い眠りをとることができる)などを中心に労働者が実践しやすいものをとりあげて行うのが良いと思います。

今年も健康で安全な就労生活を送りましょう。