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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和5年10月によせて

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長 黒沢 洋一

 

「若手育成とアレ」

 

阪神タイガースの岡田監督は、1年間、優勝という言葉の代わりに “アレ” を使い続け、大きな話題となった。その阪神が2005年以来18年ぶり6回目の優勝を果たした。“アレ” を使い続けたのは、優勝を意識し過ぎないように、つまり過度のプレッシャーを感じることなく、のびのびと野球を楽しんでもらいたいという配慮であろう。岡田氏は、阪神、オリックスで監督を歴任しているが、オリックスでは2軍助監督、阪神では2軍監督も経験するなど、若手育成の経験も長い。その経験を踏まえて、2018年のインタビューでは、長所を伸ばすことに主眼を置いた若手育成を行っていると語った。従来、長所を伸ばすこと以上に、短所を補う指導が主流だったが、時代と共に選手の気質が変化するのに合わせ、指導者もまた接し方を変えていく必要があると力説していた。また、今季の阪神の四球の大幅増も話題となった。岡田監督は、「ボール球をふるな」として四球の査定ポイント(給与に反映される)評価をアップさせた。それが球界一位の452四球につながった。「ボール球をふるな」は投球された球をよく見ることであり、野球の基本中の基本である。高度な野球技術を重視したのではなく、野球の基本を重視したのである。

厚生労働省による「新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率」の調査(2021年)によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は高卒就職者で36.9%、大卒就職者で31.2%にのぼる。労働人口の減少が見込まれている今、若手の人材育成、定着率の向上は多くの企業にとって喫緊の課題となっている。若手育成に関して、阪神の成功例はおおいに参考になるだろう。ただ、言うはやすく行うは難しである。

私も、過度なプレッシャーをかけないように「固く考えずに、“50%”ぐらいの力で取り組んだら」と若い人に助言した。するとすぐに「“30%”ではいけませんか。」と返された。“アレ”はなかなか難しい。