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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和3年4月によせて 

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鳥取産業保健総合支援センター 所長  能勢 隆之

 

新年度が始まりました。新しく採用されました新入社員の皆様、御就職おめでとうございます。

すべての労働者は職業生活の全期間を通じて、労働基準法および労働安全衛生法などの労働関係法令によって健康で安心して働くことができるよう、健康の確保のための施策が執られることになっています。労働者の健康管理を実施するために、産業保健という医学・医療・保健分野があります。これは単に労働者の健康・安全管理について業務を実施するのみでなく、社会・経済・文化などを総合的に考慮して労働者の健康を確保することを目指しています。

鳥取産業保健総合支援センターは、産業保健分野について国が立案して実行する施策に関連した事業の内容を紹介・解説したり、健康相談事業や産業保健関連従事者、労働者を対象とした研修事業などを実施しています。産業保健分野に関する事項は、作業管理、作業環境管理、健康管理など多岐にわたっています。

今月は、事業場で健康管理を実施するために、いま世界が直面している新型コロナウイルス感染症について、労働者が知っておかなければならない内容の一部を解説します。

コロナウイルスはエンベロープという膜に覆われていて、この膜に太陽のコロナ様の蛋白質がスパイク状に着いています。これが人間などの宿主細胞側のACE2受容体(気道粘膜細胞の表面に多くある)と結合して、人の細胞内に侵入して感染をおこします。またコロナウイルスは比較的容易に変異しやすいmRNAウイルスですので、人体にできた生体防御をする抗体を回避して感染を拡大し、地球上でいつまでも一定の感染者数を維持しながら変異株コロナウイルスとして常在流行することが懸念されます。

感染拡大の最大の要因は無症状者(健康保菌者)や症状の軽い人が自由に移動することによっておこることなどが考えられています。人から人への感染は病気の発症前2~3日前からおこるとされています。これらの人が発症前に家族などの近親者と接したり、飲食店などで宴会に参加し、密となり、クラスターを発生させます。また、御見舞い等で高齢者施設を訪ね、そこで感染弱者に感染が広がり、重症患者が発生することになります。このことが危惧されますので、新入社員歓迎会などは自粛された方が良いと思います。

新型コロナウイルスは、感染症法の指定感染症と位置付けられているので、法律に則り、必要な措置が実施されます。発病者はもちろんPCR検査陽性者も隔離処置が必要です。行政(保健所など)は濃厚接触者について調査を行います。労働者が濃厚接触者になるとPCR検査(ウイルス遺伝子を保持しているかどうか確定する)を受けることが指導されます。陽性と判定されると労働者自身も隔離措置がとられ、会社、仕事場および同僚などに迷惑をかけることになります。会社員としての自覚をもち、意識を変えることと行動の変容が必要です。

たとえば感染を広げないために日常的に3密を避け、飛沫感染を予防するためにマスクを着用すること(コロナウイルスが唾液の中に生存し、感染者と会話すると5㎛以上の唾液粒子が飛沫として飛散するので、不織布マスクを着用することは飛散を減少させます。)は、自分が感染しないことだけを考えたものでなく、人に感染させないエチケットです。

感染拡大の予防のためにワクチン接種が行われています。しかし前述のように変異株が多種流行していますので、今流行しているコロナウイルスに対する抗体が確立されたとしても変異株ウイルス感染予防・重症化防止にどれだけ効果があるのか分かっていません。またウイルスがヒトの免疫を回避した場合も考えられるので、ワクチン接種にたよらず、感染拡大予防のための基本的な予防行動を行うことが大切です。

職場で従業員みんなが正しい理解を進め、職場の感染予防対策の良い実践訓練となることを期待しています。