相談員のコラム【毎月メールマガジンでご案内しております。】

『人口減少社会とマタハラ』(H26年12月号)

産業医学相談員/鳥取大学健康政策医学分野教授 黒沢 洋一

今春、「2040年に自治体の半数消滅の恐れ 人口減で存続厳しく、各種推計、政策見直し迫る」という見出しで、元総務相で東大の増田寛也客員教授らの2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測が紹介された。2040年には全国の約半数にあたる896の市区町村で、出産に適した年齢といえる20~39歳の女性が5割以上減り、このうち523市区町村は人口が1万人未満になり、こうした自治体は女性が生涯に産む子どもの数が増えても人口を保てず、「消滅するおそれがある」とした。一方、人口が流入する東京は、一人の女性が一生に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率が1.09(2012年全国平均
1.41)と全国で最も低く、流入する若者を「使い捨て」にしていると指摘する。逆に、人口が流失している地方のほうが、まだ子育てをしやすい環境にあり、それが地方創成のキーポイントになると考えられる。

先日、妊娠を理由に降格されたのは男女雇用機会均等法に反するとして、理学療法士の女性が運営元に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は、女性側敗訴とした1、2審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻した。女性が妊娠や出産を理由として解雇や雇い止めになる「マタニティーハラスメント(マタハラ)」が社会的に問題となっている。20~39歳代の女性が、仕事か妊娠かの選択を迫られ、非常に酷な状況に置かれているということだ。

人口学で重要な指標がある。それは、純再生産率である。ひとりの女子が一生の間に何人の女子を産むかという数を推定したものである。この指標は、合計特殊出生率ほど一般に目にしないが、極めて重要な指標である。生物学的に人口を考えると、男性はさほど重要ではないようだ。この値が1.0以下だと、将来必ず人口が減少する。我が国は、1970年代からこの値が1.0を下まわり、現在0.67である。人口減少社会到来は、40年以上も前からわかっていたことだ。わかっていながら、何ら手を打っていないことが問題なのである。

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『実施日を現場に知らせないパトロール』』(H26年11月号)

労働衛生工学担当相談員/田岡労働安全衛生コンサルタント事務所
(労働安全・衛生コンサルタント) 田岡 隆夫

中国の食品会社が、使用期限が切れた鶏肉や、床に落とした食肉を拾って製造し販売していた報道が世界的ニュースになったのは皆さんご記憶かと思いますが、もうずいぶん前の話のような感じです。(今年7月のニュースです。)その後、本件の再発防止策はきちんとなされたのでしょうか?わたしたちは今、本当に安心して食をしてもよくなったのでしょうか?

日本企業は、これまでの冷凍ギョーザ中毒事件などを受け、取引先である中国企業の安全管理やトレーサビリティの徹底を図ってきたようです。ニュース、新聞等の情報によると、今回の様な食肉を輸入する企業側においても工場の監査を定期的に行っていたようですが、一方監査を受ける中国側の工場においては、監査用の作業を準備して対応していたようです。ということは当然、監査当日は床に落ちた食肉を拾って戻す作業もしないし、使用期限が切れた食肉もその日には現場に流すこともしないわけです。(監査結果はバッチリで問題なし?)このようことがなされては、監査の意味は全くありません。
このような状況は、監査の実施日を予め知らせていることで、事前に準備ができるところにも原因があるかもしれません。(事前準備を否定するものではありませんが、悪質な偽装作業が問題なわけです。)

この問題を皆様が日常行っている安全衛生パトロールに置き換えてみますと、おそらくパトロールの実施日を事前に現場に知らせているケースがほとんどだと思います。それはそれで実施日に向けた整理整頓等の安全活動も必要なことだと思います。でも、たまには現場に知らせない抜き打ちによるパトロールを実施してみてはいかがでしょうか、何か普段見えない部分(良い面、悪い面など)、生の現場が見えるかもしれません。

また、ある企業を訪問した時の話ですが、粉じん職場の現場を案内して頂いた時に床面が大変きれいだったので褒めたところ、「今日は、粉じん測定の日なので、粉じんが飛ばないように清掃しました。普段はここまでしないですよ」と正直に答えてくれました。(良好な作業環境の確保が目的ではなく、問題のない測定結果を得るための清掃作業だったようです)
作業環境測定も、たまには測定日を知らせないで抜打ちで行うのも生の作業環境を把握する上で必要かもしれません。

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『出張を楽しむ』(H26年8月号)

産業保健(カウンセリング担当)相談員 芦村 浩

  「鉄道ファン」とは、撮り鉄、乗り鉄、録り鉄、収集鉄、時刻表鉄、駅鉄などなど、鉄道に関する事象を対象とする趣味を持つ人である。私は、「乗り鉄」を趣味とする鉄道ファンの一人である。「乗り鉄」とは、「列車に乗る行為自体を
目的とする趣味」という定義となる。

この前、広島への出張の機会があった。鳥取から列車で移動する場合、通常は特急「スーパーいなば」で岡山へ、そして「山陽新幹線」を乗り継ぐ、約3時間の行程ということとなる。この選択は、「用事があって列車に乗る」のであって「列車に乗ること自体が目的」ではない。しかし、帰路についての目的は往路の状況とは異なる。翌日の仕事が控えているのであれば 事情は違うが、できることなら出張のついでに観光するなど、ゆっくり旅の気分を味わいたいものである。

このたびは、広島市内のホテルで一泊し、翌日鈍行列車を乗り継いで帰路についた。その行程は、次の通りである。
「広島」10:00発~「三次」11:22着(芸備線)
「三次」13:05発~「備後落合」14:31着(芸備線)
「備後落合」14:34発~「新見」15:58着(芸備線)
「新見」16:52発~「津山」18:32着(姫新線)
「津山」19:43発~「智頭」20:49着(因美線)
「智頭」21:13発~「鳥取」21:56着(因美線)

12時間の長行程であったものの、のんびりと車窓を楽しみ、乗換の合間に途中下車して駅周辺の散策をするなど、ゆったりと旅行気分ができたことに満足感が得られた。関心の無い人にとっては、聞いただけで疲労困憊の原因となろうが、私にとってはリフレッシュ方法の一つである。

出張を楽しむコツは、出張先でうまくリフレッシュさせることである。たとえば、出張先の銭湯で日頃の疲れを回復する、その土地の地酒や特産物を使った居酒屋などで胃袋を満たす、また観光名所を廻ってもよし。楽しむ方法は様々であり、あくまでも本人次第である。余裕があれば出張ついでに仕事を忘れ、自分なりにリフレッシュをすることをお勧めしたい。

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『テレビで見た情報について詳しく知りたい?』(平成26年7月号)

産業医学相談員/栄町クリニック管理者(院長) 松浦喜房

テレビや新聞、その他も医療情報で溢れています。
皆様も、「テレビで見ました」とか「友人から聞きました」とか言われて、色々な質問をされることも多いのではないでしょうか。私自身、最近の経験を思いつくままに書いてみても、〇〇年齢がどうだったとか、このサプリメントは効果があるのかとか、血圧の基準値が変わったそうだが、とか数え上げればキリがありません。
色々な質問の中身を見ると、全くの思い違いであったり、マスコミが誇張・歪曲していたり、業者の誇大広告を信じていたり、という事柄もありますが、ぜひ知っていてもらいたい大切な情報もありますし、なかには将来の医学の進むべき道を示唆しているものもあるかも知れません。

一番困るのは、相当な知識のある医療者が、業者やマスコミに利用されているようなコメントを出したり、自分の極端な考え方を喧伝されることです。さらに、最先端の医学であるべき基礎研究の体制や、臨床研究データの信頼性が揺らぐ事態を目の当たりにすると、医療への信頼を保つにはどのようにしたらよいのかと考えながら、日常に向き合っているところです。

大衆にとって耳触りのよいことはもちろんですが、問題点を掘り起こすこともマスコミの仕事でしょう。
更に好奇心を煽るようなことや、秘められた不祥事があれば、恰好のネタになるはずです。しかし、県によって個別指導の実施率(あくまで目標に対してということ)が低いのは問題だとか、医師会の抵抗で診療報酬請求の電子化が遅れたとか、大新聞が一方的に書き立てても、医療者側はよほどのことがなければ反論の機会を持たないでしょう。

日常的に、相談を持ち掛ける方との対応はどうしたらいいのでしょうか?一歩進んでこちらがマスコミ情報を利用することはできないでしょうか?元々、私は医学の教える事柄以外はコメントしませんよ、サプリメントについても医療と無関係に自由に任せますよ、という態度でした。でも、最近はそれでは済まされないという思いを強くしています。全部を網羅することは到底無理でも、疲労回復、免疫力向上、美容、さらに健康長寿といった願いのために多くの人がサプリメントを使用し、日本で1兆円を超えるお金が費やされている現状を見ると、それらの商品名や副作用等が少しずつ覚えられるようになりました。

一方で、老・病・死に対する抵抗は本能的なものだと思わざるを得ません。
話は変わりますが、最近では、スポーツ選手の間でもキセノンガス等を用いた低酸素状態により高地トレーニングと同じ状態が得られるとかで、ソチオリンピック後は新しいドーピング方法に対応するため、時効が無くなって、何年前にもらったメダルでも剥奪されるとか、物質が検出されなくても不自然な血液データ変動を説明できなければドーピングと見做されることになりました。スポーツ=遊び=自由と創造、という考えから懸け離れた時代にならないことを願います。

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『日本消化器がん検診学会総会に参加して』(平成26年7月号)

  産業医学相談員/おかだ内科院長 岡田克夫

平成26年6月6日・7日の2日間、第53回日本消化器がん検診学会総会に参加しました。従来、本学会において内視鏡を用いた胃がん検診については対策型検診として推奨するだけの十分な証拠がないとされて来ました。
つまり、「国として行う検診において内視鏡検診は勧められない」という事になります。もちろん人間ドックなどでは通常行われていますし、鳥取県では以前よりエックス線検査と内視鏡検査を選択できる胃がん検診を行ってきました。がん検診として有効な方法と信じて諸先輩によって現在の形が構築され、県民の皆さんも内視鏡が選択できるのが普通の胃がん検診と理解されているのではないでしょうか。しかし、内視鏡検診によって死亡率を減少させることを証明した研究はありませんでした。確かにがん発見率はエックス線検査よりも高く、発見されるがんも早期がんの比率が高いのですが死亡率減少効果が証明されなければ“がん検診”として推奨されないのです。

この問題を解決すべく、国立がん研究センター濱島先生により鳥取県と新潟市の内視鏡検診のデータが検証され、昨年内視鏡検診による死亡率減少効果を証明する論文を出されました。今回の学会でもたびたび取り上げられていましたが、国の指針を変更するためには質の高い研究が複数必要とされており今回の改定には間に合わないかもしれません。鳥取県で取り組んできた内視鏡検診が評価されてうれしく思うのと同時に、外からの評価に耐えうる質の高い検診を続けていくことが求められると考えています。また、これら市町村の実施する対策型検診と異なり、職域検診におけるがん検診は様々な方法で行われており、実態も十分に把握できていません。学会の認定施設での全国集計はありますが、全体の実態を網羅するデータはありません。

がん死亡、とりわけ働き盛りの方のがん死亡を減少させるため職域検診の実態をふまえ検診内容、精度管理方法などさらなる検討が望まれます。当面の方策としては職域で受診機会のない方の市町村検診利用の促進を図りたいところです。

がん死亡、とりわけ働き盛りの方のがん死亡を減少させるため職域検診の実態をふまえ検診内容、精度管理方法などさらなる検討が望まれます。当面の方策としては職域で受診機会のない方の市町村検診利用の促進を図りたいところです。

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『待合室の会話“人生の先輩たち”』(平成26年2月号)

産業医学相談員/ 井上 雅勝 (井上医院 院長)

平成26年の初春は例年より雪こそ少ないが気温の低い寒い日々がつづいています。今日の外来診察も早朝より多くの患者さんが待合室で待っている。「さあ今日もがんばるぞ」と己を振るいたてながら診察をはじめる。患者さんは8割が年配の方であり2割が学校に行く前の学生や児童そして出勤前の会社員といった構成である。私の医院では待合室の次に中待合室そして診察室の2部屋がある。
診察が始まると看護師が待合室の患者さんを5-6名呼び込み、その内2名を診察室に入り残り4名ほど中待合室の椅子に待ってもらう、診察室と中待合室の間はアコーデオンカーテンのみであり、私が診察中も中待合室の会話がほぼ筒抜け状態である。(改善しなければならない点ですが・・)しかしこのことが意外に診察に役に立っているのです。

特に中待合室の患者さんが高齢の女性が三人のときは特に話が盛り上がります。「あんたぁどうしんさっただぁ」「さあぁ昨日家でこけてなぁ腰がいたいだがぁ」 「そうかぁ私は膝が痛とうていけんだがぁ」耳に入ったこの情報見逃すのはもったいないのです。診察しながら別の看護師にレントゲン検査の用意を指示します。再び中待合室のもう一人の患者さんの会話「私はなぁオシッコが近こうて困るだがぁ」すぐに検尿の用意というように次の準備を考えることができます。また彼女らの最新情報に接することもできます。「孫ができてなあぁ」など嫁のこと夫のこと最近の出来事など、中待合室の会話は秘密情報 で一杯です。硬いことを言えば“個人情報漏洩”の罪になることだと思いますが情報は私の心に留めてひたすら効率よい診察の為だけに密かに使わせていただいています。午前中の診察は特に確実に早く、そして待ち時間を少なくするための為の裏技です。

もうひとつ私が勉強になるなあと思うことは彼女たちの“死”に対する言葉です。高齢者、特に85歳以上の患者さんといえばほとんど女性の方です。外来に来診できる方なので、もちろん足腰丈夫(障害や病気があっても・・)で元気な方ばかりです。私たち医療関係者は患者さんの前ではなるべく“死”という言葉やそれを連想させることは言わないのですが、彼女たちは全く躊躇することなく「早く迎えに来てくれんかなぁ」「まわりに知ってるもんがいないから早く死にたい」「もう生きていくのがタイギイ」「死にたくても死ねん」「もういい」などけろっと口走ります。もちろん本気で言っているわけではありませんが本音の部分もあるように感じます。つまり“死”を必然として前向きに捕らえているともとれます。70歳以下の人にはそのような言い方をする人はあまりいません。達観しているのか、私も古希を迎え、どちらかと言うと彼女らの考えに近いなあと思ったりします。今後も年齢とその人が“死”に対してどう思っているのかを注目したいものです。

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『 PM2.5と黄砂 』(平成26年1月号)

産業医学相談員/鳥取大学健康政策医学分野教授 黒沢 洋一

 グーグルの検索ワードのランキングが発表された。鳥取県の検索ワード第一位はPM2.5であった。もともと鳥取県は地理的に黄砂の飛来の多い地域であり、大陸から黄砂とともに微細粒子PM2.5が飛来するので関心が高まったと考えられる。大気中には、さまざまの粒子が浮遊しているが、その由来は、自動車の排気ガス、火力発電所、工場、家庭の暖房、ゴミ焼却炉からの煙などの人為起源のもの、火山の噴火、黄砂などの自然由来のものなどさまざまである。PM2.5は、浮遊粒子状物質のなかでも特に粒径が小さい微細粒子で、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去したのちに採取される粒子のことである。PM2.5は、あくまで大きさだけで区別した値で、粒子の成分や由来は区別されていなが、微細なため肺の奥まで到達するので、喘息などの肺疾患、心疾患の増加との関連が指摘され世界的な健康問題となっている。
日本に飛来する黄砂の大きさは、0.5 µm ~5 µm くらいであり、黄砂の一部はPM2.5に含まれる。われわれは、最近の観測に基づき、黄砂飛来日を3タイプに分けた。
タイプ1 大気汚染物質タイプ:黄砂成分は少なく、汚染物質の飛来のほうが多い日。中国大陸重工業地帯、都市部周辺から飛来する。
タイプ2 混合タイプ:黄砂日だが汚染物質も多く混じっている日。乾燥地域から大規模な黄砂が発生し中国大陸重工業地帯、都市部を経由して飛来する。
タイプ3 黄砂タイプ:純粋な黄砂日で汚染物質が通常より少ない日。乾燥地域から大規模な黄砂が発生し、朝鮮半島を経由して日本へ到達する。

自覚症状スコアで3タイプを比較すると、タイプ1の時が最もスコアが高く、次いでタイプ2で、タイプ3は最も低かった。やはり、自然由来の黄砂よりも、産業活動で発生する人為起源の大気汚染物質がより健康に影響を与えているようだ。

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『“笑いヨガ“ってご存じですか?』(平成25年10月号)

労働衛生工学担当相談員/田岡労働安全衛生コンサルタント事務所
(労働安全・衛生コンサルタント) 田岡 隆夫

みなさん、“笑いヨガ“ってご存じですか? 最近テレビでも話題になったりしていますので、ちょっとだけ知っている、見たことがある方も少しはおられるかもしれません。実はわたし、今年の2月にこの“笑いヨガ”のリーダ養成研修を受けリーダ認定を受けてきました。  暇があったのと、ネクラな性格の打破のきっかけになればと思い面白半分で岡山市へ2泊3日で向かいました。研修会を受けての感想は、「面白かった・馬鹿になれた・またやってもいいなあ」の印象でした。さらにメンタルヘルスの教材にもなるなあーと思いました。せっかくですから、今回はみなさんにこの“笑いヨガ”について少しだけですがご紹介したいと思います。(特段、日本笑いヨガ協会から依頼されたものではありません) これ以降は、暇と興味のある方はお読みください。
 “笑いヨガ“とは、簡単に言えば笑いの体操とヨガの呼吸法を組み合わせた健康法です。
★世界に広がる、楽しい新しい運動法です。
★1995年にインドの医師によって考案されました。
★誰でもが冗談、ユーモア、コメディなしで笑うことができる。
★はじめは体操として笑い、すぐに本当の笑いに変わっていく
★子供のような遊び心や喜びを養える。
★ヨガの呼吸法(プラナヤーマ)のエクササイズと、笑いを誘うエクサアイズを組み合わせている。
★身体と脳に供給する酸素を増加させる。
★笑うヨガは、身体に作り笑いと本物の笑いの区別がつかず、どちらの笑いでも身体的に同じ効果が得られるという科学的根拠に基づいている。
★笑いヨガは、身体と心の両方に影響を与えるエクササイズである。身体を使って笑うと、心や感情にも肯定的な変化を及ぼす
★1995年、5人で始まった笑いヨガは、今や世界70か国以上に広がり10,000以上のクラブが存在しています。
“笑いヨガ”の効用として次の内容があります。 「笑いヨガを続けていると、脳・免疫系・消化器系・生殖系・心肺機能等の身体やメンタルヘルスに効果が高いだけでなく、日常生活に笑いや遊び心があふれるようになり、心豊かな快適な毎日を過ごせるようになります。コミュニケーション能力・協調性・創造性も増し、仕事面でも有効です。あなたのビジネス・ソーシャルライフ・パーソナルライフ全てを変化させるパワフルなものです。
 以上紹介したい内容はまだたくさんありますが、文章量に制約がありそろそろ終わりにしますが、具体的にどんな事をするの?について簡単にふれて終わりたいと思います。やることは単純で頭・知識は無用です。 ●とにかく、笑うんです。ウソ笑いをするんです

  • 繰返しの手拍子をしながら笑います。「ホホ・ハハハ」⇒ 「いいぞ、いいぞイェーイ」と3回繰り返す
  • 仲間同士で集まってやります。一人でも出来ます。どこでも、どんな時でもやればいいんです。 ●笑いエクササイズの例があります:「請求書笑い」「ライオン笑い」「けんか笑い」など。 (意味不明と思います???) 興味のある方、詳細を知りたい方はネット“笑いヨガ“で検索してみてください。

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『アタマにくる一言への とっさの対応術』(平成25年8月号)

産業保健(カウンセリング担当)相談員 芦村 浩

何気ない相手の一言によって、自尊心を傷つけられたり、気分を台無しにされた経験は誰にでもあろう。ささいな一言が良好な人間関係に支障をきたすことも否めない。 人生を良好に過ごすには、相手の遠慮のない言葉や悪意のある言葉から、自分の心を守ることも大切である。 では、不快な一言に対し、どのように防衛すればよいのか。まずは他人の気分に左右されない強い自分になることである。そしてアサーションスキルも求められる。 しかし、そこまでしても、カチンとくる言動を意図的に仕掛けてくる人はいる。そこで、 ドイツのカウンセラー バルバラ・ベルクハン氏は「アタマにくる一言へのとっさの対応術」(ソフトバンク文庫)で次のように説明している。

1.挑発してくる相手に勝つためには、
・相手の攻撃に答えず、全く別の話を切り出す。【そういえば…】
・黙ったまま身振りだけで対応する。【メモ帳をとりだして相手の言葉を書きとる】
・相手の攻撃を一言でやり返す【ええ、それがなにか?】

2.相手に言葉のカウンターパンチを浴びせ、相手の攻撃の意図を台無しにさせるには、
・相手の攻撃に対し、とんちんかんなことわざで受け答えする【天国でえらい目にあうよりも、地獄で仏のほうがましですね】
・相手の気が済むのであれば、喜んで譲歩する姿勢を見せる【それであなたの気がすむのでしたら、あなたの言うとおりですよ】
・相手を褒め上げて封じ込める【あなたの見事な弁舌にはほれぼれしますよ】

3.討論や交渉を混乱させるような攻撃を受けたとき、冷静な話し合いに引き戻すには、
・相手にその言葉の意味を聞きだす【それどういう意味ですか?】
・相手の見解や立場に理解を示しながら、自己主張する【私があなたの立場でしたら、やはりそういう疑問を抱くと思います。しかし・・・・・】
・どっしり落ち着いて構える【私の言ったことがお気に召さなかったようですね】
・何があなたを傷つけたのか、怒らせているのかを、相手に短く正確に伝える【その言い方は人を侮辱していますね】
・相手に対して、より快適な話し合いのルールを提案する【本題からそれないようにしましょう】

4.極めて無神経で卑劣な相手を負かしたいときは、
・相手に面と向かって謝罪を要求する【そんなこと言って、無用な争いをしたいのですか。これ以上あなたとお話できませんね】

上記の対応の共通することは、相手の攻撃をはぐらかすことはあっても、決して相手を侮辱しているわけではないということである。尊ぶことも忘れてはいない。頭にくる一言で、自分が興奮してしまえば相手の思うつぼ。まずは自分自身が冷静になることこそ、よい対応できると言えよう。

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『冬は紅茶で温まろう』(平成24年12月号)

産業医学相談員/鳥取大学健康政策医学分野教授 黒沢 洋一

 インフルエンザのウイルスが,紅茶などのお茶に弱いことが報告されています.昭和大学医学部の研究では,紅茶でうがいをした人は,しなかった人よりインフルエンザにかかりにくいという結果が得られたのです.この調査は,1992年の冬から翌年にかけて行われたもので,紅茶でうがいを「する群」と「しない群」に分け,その後のインフルエンザ感染率を比較したところ,「する群」は35.1%,「しない群」は48.8%と,有意の差が認められました.他の研究でも同様の結果が得られています.お茶に含まれるカテキンの一種テアフラビンがウイルスのある部分に結合して,のどの細胞の鍵穴と結合しなくなるようです.緑茶を発酵させて紅茶にするとその作用が強化されるそうで,紅茶が特におすすめのようです.紅茶栽培というとインドがまず思い浮かびますが,九州、東海、山陰地方で生産された国産紅茶も若干量流通しており,大山のすそ野でも紅茶の栽培がおこなわれています.大山町では,同様の作用のあるハーブティー,エキナセア(古くからアメリカの先住民に薬草として珍重されてきた植物)の栽培も始まっています.米子のある企業も,鳥取大学医学部や鳥取県産業技術センター食品開発研究所と連携し,抗インフルエンザ作用が見込めるとろみ付きの紅茶を開発し,商品化しています.

私は,鳥取大学医学部の産学連携を担当していることもあって,産学連携の紅茶に関連して考えついたフレーズが「冬は紅茶で温まろう」です.乾燥した日本の冬はインフルエンザの季節でもあります.乾燥した冬の間,仕事の合間に,紅茶でのどを潤してはどうだろうか.本来は,薄めの紅茶でうがいをするのがよいのだが,飲んでもインフルエンザの予防に多少は効果があるだろう.のどが乾燥しないように少量ずつ定期的に飲むのとよいかもしれない.ただ,紅茶大量に飲むと,カフェインの影響が強く出て,眠れなくなったりするので,ほどほどがよいのは言うまでもありません.もちろん,砂糖も控えめがよいでしょう.

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