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鳥取産業保健総合支援センター 所長 能勢 隆之

 

新年度になり、日本では入学式や入社式などを迎え、各部署では、新人や新任の者が活動をはじめ、人事異動の者も新しい職場で今まで以上の実力を発揮するように気持ちを新たに行動を開始しています。

自己紹介がおそくなりましたが、本年4月1日より本センターの所長に就任いたしました能勢です。よろしくお願い申し上げます。産業保健の分野を大学の教官に就任して以来、教育・研究の重要な課題として取り組んでまいりました。
産業保健の課題は急速に時代の流れとともに変遷しています。私が産業保健に携わるようになった頃は劣悪な作業環境が多くあったため、いわゆる職業病(鉛中毒、振動障害、じん肺、有機溶剤中毒、各種化学物質の中毒疑いなど)がかなりあり、労働者健康診断も特異な分野の医学の実践をすることが多くありました。それが今日では生活習慣病やメンタルヘルスなどポピュラーな疾患を視野に入れた健康診断がややもすると主流となった労働者の健康管理になっています。

古い桜の木が毎年美しい花を咲かせていて、昔の人もこの木を花を見て楽しんだのであろうと懐古にひたっていると、すぐ横で若い木が植樹され若い芽を出し古い木が朽ちても次世代が育っています。
この若い木が隆盛してくれるのも、そんなに遠くはないと感じています。
経験豊富な先達は未経験の世代がしっかり育つまで道を示すと同時に体制をつくっておくことが大切です。

不景気になると、労働環境が劣化しかねません。快適な労働環境を維持し続けるのがなんとなく困難になっていくことを感じます。
4月という新旧交代の時期、改めて社会に大切なことは何かを見据えて諸現象に対応することが必要と思います。
本センターは、産業保健推進センター事業、メンタルヘルス対策支援事業、及び地域産業保健事業の3事業を一元化して、平成26年4月1日にスタートしています。
産業保健関係者を支援するとともに、職場の健康管理への啓発の目的を達成するため、みなさまの御理解と御支援を得る事によって本センターの機能が発揮出来るように努力しますと共に尽力したいと思っています。


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鳥取産業保健総合支援センター 所長 川﨑 寛中

全国的にインフルエンザの流行はピークを過ぎましたが、引き続きインフルエンザ対策を怠らないようにしてください。インフルエンザが下火になり、終息する頃から花粉症の時期に入ります。日本では直近10年間でスギ・ヒノキ花粉量が大幅に増加しており、特に前年7月~8月の平均最高温度が高いほど飛散量が多いと言われます。昨年7月の猛暑から推測すると、今年は花粉症が多発する可能性がありますので、毎年花粉症に悩まされる人は早めの対応で症状軽減と仕事の上での思考力や集中力維持に努めてください。

3月は自殺対策強化月間です。近年、全国的に自殺者数は減少傾向にありますが、一方では働き盛りの20、30、40歳代の死因で自殺者数が多いことが課題になっています。鳥取県の自殺者(自死)数はやや低下傾向にありますが、自死率は全国より高い値で推移している現状です。

昨年の労働安全衛生法改正で、労働者の心理的な負担の程度を把握するための医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施が今年の12月1日から事業場に義務付けられます。ただし、従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務となっています。(公財)日本生産性本部・メンタル・ヘルス研究所は昨年、「メンタルヘルスの取り組み」に関する上場企業250社の調査を取りまとめた結果、最近3年間の「心の病」の増減では、「増加傾向」と回答した企業は29.2%、「横ばい」は58.0%、「減少傾向」は9.2%で、「心の病」は依然として高止まり傾向にあります。「心の病」を年代別にみると、30代、40代が3割を上回っているのが大きな課題になっています。

当総合支援センターの黒沢洋一相談員の平成25年度産業保健調査研究報告書による「鳥取県のメンタルヘルスの取り組み状況~平成19年度調査との比較~」においても、過去一年間でメンタルヘルスに関連して不調を訴える事例があった事業場は全体の46%に上りますので、産業保健従事者は引き続き多角的なメンタルヘルス対策を講じてください。
3月の声を聞くと、桃の節句(3日)、啓蟄(6日)、彼岸入り(18日)、春分(21日)と続き、下旬にはいよいよ桜の開花を待つ時期となります。事業場では今月は平成26年度最後の月になりますので、年度内の目標を確実に達成して新しい年度に移りたいものです。


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鳥取産業保健総合支援センター 所長 川﨑 寛中

新しい年に入ってから、全国的にインフルエンザの流行が続いており、鳥取県でもインフルエンザ警報が発令中ですので、引き続きインフルエンザ対策を強化してください。インフルエンザの感染経路は飛沫感染と接触感染ですので、咳エチケットやマスクの着用、外出先から帰ったら、うがいと手洗いを励行してください。高齢者や慢性気管支炎、気管支喘息などの肺疾患及び心疾患を有するハイリスクグル−プの人は不要な人混みへの外出を控えるように指導してください。

平成26年12月に厚生労働省は「平成25年国民健康・栄養調査結果の概要」を公表しました。3食ともに、穀類、魚介類・肉類・卵・大豆(大豆製品)、野菜を組み合わせて食べている者の割合は、男女ともに年令が若いほど低い傾向にあり、特に男性では20〜49歳までの年代は28%台、女性では20〜39歳までの年代は24%前後で、働き盛りの年代で栄養バランスが不十分です。産業保健従事者は職場で、生活習慣病の予防には主食・主菜(魚介類、肉類、卵など)・副菜(緑黄色野菜を含む2種類以上の野菜)を組み合わせた食事と運動の継続が最も大事なことを絶えず指導する必要があります。

先日の新聞報道によると、団塊の世代が75歳以上になる2025年に、認知症の人が700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になる時代を迎えます。認知症や認知症様症状をきたす疾患・病態は多岐にわたりますが、最近の研究によると、認知症の代表とされる中枢神経変性疾患のアルツハイマー病や血管性認知症では、運動が有意に防御因子であるほかに、主菜・副菜をしっかり取ってバランスの良い食事を心がけることが認知症のリスクを減らすとも言われますので、認知症は生活習慣病の延長線上に位置づけて、認知機能が低下する前から生活習慣病予防と改善に努める必要があります。

2月3日(火)、4日(水)は節分、立春を迎え、暦では気候が冬から春に移る時節です。節分豆を撒いて無病息災を祈願しつつ家族の絆を強めましょう。

 


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鳥取産業保健総合支援センター 所長 川﨑 寛中

あけましておめでとうございます。
まず初めに今年も、皆様におかれましては健康で素晴らしい一年でありますようお祈り申し上げます。今年の干支は未(羊)年ですから、羊のように穏健正直でありながら、前向きに仕事を進めつつ未完成の自分を一歩でも成長させてください。

鳥取産業保健総合支援センターは昨年4月より、事業場における産業保健活動の支援、メンタルヘルス対策の普及と促進、及び地域産業保健センター業務を遂行して労働者の健康管理に努めています。今年も、私ども職員は働く人の健康管理に携わる産業保健従事者とともに、鳥取県医師会、労働局、関係諸団体のご協力ご支援を賜りながら、産業保健の推進に尽力してまいります。

正月「三が日」の新聞、テレビ等の論調を拝見しますと、国民の最大の関心事は景気回復と地方創生にあるようです。アベノミクス効果が地方まで波及して、鳥取でも一段と雇用が拡大する政策と、労働者がイキイキ職場で元気に働いて地域衰退を防ぐ施策が待たれます。
近年、わが国の労働市場は改善されつつあり、一方では15歳以上の労働力人口の低下と相まって、事業場では定年後も働ける継続雇用制度が広く普及しています。事業場においては労働者の健康確保が健全経営につながることが認識されてきました。古来「医食同源」と言われ、食物が体内に入り、人のさまざまな機能に影響を及ぼす食生活のあり方が生活習慣を形成しています。がんや脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化、高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は食事要因によってその発症が大きく左右されますので、食事を通じて生活習慣を是正しながら、いい仕事で成果を出してください。

大寒の1月20日頃が一年で最も寒い季節ですが、このような時期にはお風呂が一番で、ゆっくり入浴すると疲労回復と心身のリフレッシュのほか、安眠や小じわ予防に効果があります。

 


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鳥取産業保健総合支援センター 所長 川﨑 寛中

 

今年も慌ただしい師走に入りました。12月は歳末助け合い運動でスタートしますが、今年は12月2日公示―14日投開票の衆議院選挙が重なり、例年よりもざわついた年の瀬になりそうです。

鳥取労働局では、死亡災害が多発する年末に集中的な取り組みとするために、今年度から一カ月前倒し、11月7日から年末までの55日間にわたって、第26回目の『「ゼロ災55」無災害運動』を展開中です。わが国における労働災害は、平成22年から3年連続で増加し、平成25年に減少したものの、今年度に入り死亡者・死傷者数ともに、多くの職種で前年と比較して増加傾向を示しています。産業保健従事者は経営トップと連携して、この期間中に職場安全衛生パトロールを実施してください。詳細は当総合支援センター及び鳥取労働局のホームページをご覧ください。

10月30日(木)、31日(金)に、ソリッドスクエアホール(所在地:神奈川県川崎市幸区堀川町580番地ソリッドスクエア地下1階)で、平成26年度(第19回)産業保健調査研究発表会が開催されました。当総合支援センターからは、相談員の黒沢洋一主任研究者が川﨑寛中、岩本桂子、細田武伸各研究者との共同研究のもとに、「鳥取県のメンタルヘルスの取り組み状況~平成19年度調査との比較~」について発表し、その中で今後事業場におけるメンタルヘルス対策は一層重要になることを報告しました。詳しくは当総合支援センターホームページの調査研究報告書をご覧ください。

12月は楽しい忘年会で美味しいお酒を飲む機会も多いですので、節度ある適量の飲酒を心掛けて、ゆったりした気分で副食物を食べながら楽しく飲んでください。「酒は百楽の長」と言われる適量は、日本酒(15度)1合(180ml)、ビール(5度)中ビール1本(500ml)、焼酎(35度)70ml、ワイン(12度)グラス2杯(200ml)、ウイスキー(43度)シングル2杯(60ml)です。最近の研究によると、アルコールに対する感受性には性差があり、女性はより少量もしくは短期間の飲酒によって肝障害が生じ、また、高度の病態に進展しやすいことが明らかにされていますので、女性の適量は男性よりも少な目がよいでしょう。